トクリューの強盗殺人事件、指示役も共同正犯だと思うが、どうか?

おっしゃる通り、トクリュー(匿名・流動型犯罪グループ)が引き起こす強盗殺人事件において、現場に赴かず通信アプリ等で指示を出していただけの「指示役」も、共同正犯(より正確には「共謀共同正犯」)として問われる可能性が極めて高いです。

ご指摘の法的な感覚は、現在の日本の刑事司法の実務と完全に一致しています。その法的な根拠と理由を詳しく解説します。

なぜ現場にいなくても「共同正犯」になるのか?(共謀共同正犯)

日本の刑法では、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする(刑法第60条)」と定められています。

過去の最高裁判例により、自ら実行行為(物理的な強盗や殺害行為など)を行っていなくても、以下の要件を満たせば「共謀共同正犯」として、現場の実行役と全く同じ重い罪に問われることが確立しています。

  1. 共謀の存在: 犯罪を行うことの合意があること。
  2. 正犯性: 単なる手伝いやそそのかし(幇助や教唆)ではなく、その犯罪を「自分自身の犯罪」として遂行したと評価できる重要な役割を担っていること。
  3. 共謀に基づく実行行為: 合意に基づき、実行役の誰かが実際に犯罪を行ったこと。

トクリューの指示役に「正犯性」が強く認められる理由

トクリューの事件構造を法的に評価すると、指示役は単なる「教唆犯(そそのかしただけの人)」にはならず、以下の理由から圧倒的な「正犯性」が認められます。

  • 犯行の支配と統制: 指示役はターゲットの資産情報や見取り図を用意し、秘匿性の高い通信アプリ(シグナルなど)で現場の実行役にリアルタイムで細かい指示を与えます。また、事前に身分証などを送信させて恐怖で支配しており、犯行全体をコントロールしています。
  • 不可欠な役割: 指示役の計画や情報提供がなければ、そもそも素人の寄せ集めである実行役だけでは強盗を実行することは不可能です。
  • 利益の独占: 奪った金品の大部分は指示役やその上の上位者の手に渡るシステムになっており、犯罪による利益を最も享受しています。

指示役は「実行役という手足を使って、自分自身の強盗を行っている」と法的に評価されるため、共同正犯となります。

実行役が勝手に人を殺した場合も共同正犯になるか?

強盗の現場で、実行役が想定外の抵抗に遭い、被害者を殺害してしまった場合でも、指示役は重い罪を免れません。

  • 強盗殺人罪・強盗致死罪の適用: 強盗という犯罪は、本質的に被害者の抵抗を抑圧するための暴力を伴うため、人の死傷という結果を引き起こす危険性が極めて高い犯罪です。
  • 指示役が「殺してでも奪え」と明確に指示(殺意の共有)をしていれば強盗殺人罪の共同正犯となります。
  • 仮に「脅して奪うだけで、殺すな」と指示していたとしても、強盗を指示している以上、その過程で人が死ぬ危険性は予見可能であるため、結果的加重犯として強盗致死罪の共同正犯に問われるのが一般的です。

なお、日本の刑法において、強盗殺人罪も強盗致死罪も、法定刑は「死刑または無期懲役」しかありません。

結論

トクリューの事件において、匿名性を盾に遠隔で操っているつもりの指示役であっても、逮捕されれば現場の実行役と同等、あるいは首謀者としてそれ以上の厳しい処罰(死刑または無期懲役)を受けることになります。「指示役も共同正犯である」という認識は法的に極めて妥当です。

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